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2007年6月12日 (火)

ベームのフィガロ56年盤

Figaro_bohm_56


歌劇《フィガロの結婚》
カール・ベーム指揮
ウィーン国立歌劇場合唱団
ウィーン交響楽団
パウル・シェフラー(伯爵)
セーナ・ユリナッチ(伯爵夫人)
ヴァルター・ベリー(フィガロ)
リタ・シュトライヒ(スザンナ)
クリスタ・ルートヴィヒ(ケルビーノ)
録音:1956年4月、ウィーン、モノラル


昨年、モーツァルト生誕250年とあって世の中モーツァルトで大騒ぎしていたときは、わたくし、天の邪鬼なので、モーツァルトは、わざと聴きませんでした。その反動か、今年は聴きまくってます。ベームのフィガロ1956年スタジオ録音盤を聴いてみましたが、これは、久々に、面白いフィガロでした。オケはウィーン・フィルではなくウィーン交響楽団ですが、ウィーンの香りがプンプン匂うような音楽。どういうところにそれを感じるかというと、たとえば第1幕冒頭の第1,2曲、腫れ物に触るかのように旋律をなぞるみたいな遅いテンポの演奏です。

ベームという人はルバートしない人と思われているかも知れませんが勿論します。それは、ベートーヴェンの交響曲全集など聴くと分かります。ただ、彼のルバートは理にかなっているので目立たないだけです。この盤では、テンポルバートというより全曲が大きなテンポの変化で形成されているような感じで、聴いていて全然飽きませんし、一気に聴きたくなるし、ある種の高揚感を感じさせます。

あとシュトライヒとユリナッチのウィーン風がなんともいえずイイカンジ。

私は国内盤を買ったのですが、これはレーベルがPHILIPSで、Copyright 1957 Decca Music Group Limitedとありますのでデッカ音源なのでしょう。ということは、この録音は一連のデッカによるモーツァルト:オペラ全曲録音の一部だったと思われます。序曲を聴いたとき「低音が聞こえない」と思いましたが、CD2、第2幕の後半第8景あたりから何故か突然、音が変わってデッカサウンドになるような気がします。すなわち第2幕の後半第8景あたりから、E.クライバーの歌劇《ばらの騎士》に近いレンジの広さが聞こえるような気がします。

演奏について、ベーム68年録音DG盤との比較で言いますと、まず歌手陣は

パウル・シェフラーの伯爵はいまいち。68年盤のディースカウは、その卓越した表現力で伯爵の個性を聴覚的に伝えますね。

セーナ・ユリナッチの伯爵夫人が素晴らしい。第2幕冒頭のカヴァティーナ"Porgi, amor"には圧倒されました。音楽が止まりそうな遅いテンポで歌われる彼女の貫禄ある歌唱。「いよいよ真打ち登場」という感じです。第3幕のアリア"Dove sono"は色気ムンムン。これには、ヤノヴィッツも適わないと思わせられました。

27才のベリー歌うフィガロは物足りないととるか、善戦しているととるかは聴き手次第でしょう。私は好きですね。

リタ・シュトライヒのスザンナは期待したのですが、チャーミングでありかつ大役であるスザンナの役作においいて、シュトライヒの役作りはいまいち面白くなかったです。ただ、第4幕のアリア"Deh vieni"は完璧です。

私はマティス、ヤノヴィッツのコンビより、シュトライヒ、ユリナッチのコンビの方が好きですね。前者は歌唱の安定感において現代的で、後者は貫禄において古き良きウィーン風という感じです。第3幕の二重唱は後者の方が美しい。

クリスタ・ルートヴィヒのケルビーノは、すごいですが役にあってないかも。

ベームの指揮は上記のように、大きな音楽の流れにおいて、面白さを感じさせるという点で、私は68年盤よりこの56年盤をとります。

第4幕の幕切れは美しかったです。



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