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2007年3月24日 (土)

《マタイ受難曲》はお気楽に(4)

私は「《マタイ受難曲》はレチタティーヴォとアリアがイタリアオペラ的なので、イタリアオペラ感覚で聴いていい」と書きました。なので《マタイ受難曲》の一番の聴きどころともいえる「レチタティーヴォとアリア」の中から私の好きなものをふたつ紹介します。

ひとつは第12、13曲

12. [Soprans Rezitativ]
Wiewohl mein Herz in Tränen schwimmt,
(わたしの心は涙の中を漂います)
Daß Jesus von mir Abschied nimmt,
(なぜならイエスがわたしに別れの挨拶をするからです)
So macht mich doch sein Testament erfreut:
(ですが彼の契約はわたしを喜ばせます)
Sein Fleisch und Blut, o Kostbarkeit,
(自分の肉と血を ああ 尊い物を)
Vermacht er mir in meine Hände.
(彼はわたしの手に遺してくれるのです)
Wie er es auf der Welt mit denen Seinen
(彼は この世で おのがものらに)
Nicht böse können meinen,
(何の憎しみも抱かないように)
So liebt er sie bis an das Ende.
(終わりまで彼らを愛するのです)

13. [Soprans Arie]
Ich will dir mein Herze schenken,
(わたしはあなたに自分の心を捧げます)
Senke dich, mein Heil, hinein!
(降りて来てください、わたしの救い主よ)
 Ich will mich in dir versenken;
 (わたしはあなたの中に身を沈めます)
 Ist dir gleich die Welt zu klein,
 (たとえ世界があなたを受け入れられないほど小さすぎても)
 Ei so sollst du mir allein
 (ああ わたしにとって あなたこそ)
 Mehr als Welt und Himmel sein.
 (世にも天にも勝ります)
 
アリアがいいですね。このダカーポ・アリアの中間部を意訳すると、

「わたしはあなたの中に身を沈めます
たしかにこの世界は愚かしくもあなたを受け入れることができませんでした
でも、わたしには、あなたがいます
わたしにとって、あなたこそ、この世界、いや、それどころか、天にも勝る存在なのです」

美しいですね。

もうひとつは、第48,49曲

48. [Soprans Rezitativ]
Er hat uns allen wohlgetan,
(彼はわたしたち皆を慰めました)
Den Blinden gab er das Gesicht,
(盲人に視力を与え)
Die Lahmen macht' er gehend,
(足の不自由な人を歩ませ)
Er sagt' uns seines Vaters Wort,
(わたしたちに父の言葉を語り)
Er trieb die Teufel fort,
(悪魔を追い払い)
Betrübte hat er aufgericht't,
(悲しむ者を慰め)
Er nahm die Sünder auf und an.
(罪人を抱き上げて受け入れました)
Sonst hat mein Jesus nichts getan.
(その他にはわたしのイエスは何もしていないのです)

49. [Soprans Arie]
Aus Liebe will mein Heiland sterben,
(愛ゆえにわたしのイエスは死のうとしています)
Von einer Sünde weiß er nichts,
(何の罪も知らないというのに)
 Daß das ewige Verderben
 (永遠の滅びと)
 Und die Strafe des Gerichts
 (裁きの刑罰)
 Nicht auf meiner Seele bliebe.
 (わたしの魂に留まらないようにする為に)
 
このレチタティーヴォとアリアは《ピラトの尋問》の場面、群衆の狂乱のまっただ中で歌われます。しかも、アリアの伴奏は通奏低音をともなわない、フルートのオブリガードと二つのオーボエ・ダ・カッチャのスタッカートだけです。美しくも悲しく静かなアリアです。

ほかに、有名なアリアをあげると

第39曲のアルト・アリア"Erbarme dich(憐れんで下さい)"

これは、レチタティーヴォなしで、いきなりアリアが歌われます。第2部ペテロがイエスを否認し激しく泣いた後すぐに歌われます。《マタイ受難曲》では、アルト独唱は重要だと思います。

ちなみに、レチタティーヴォなしのアリアは、ほかには第8曲"Blute nur(血を流して下さい)"と第42曲"Gebt mir meinen Jesum wieder!"(私のイエスを返して下さい)だけです。

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